Blossom Dearie - Winchester in AppleBlossom Time | NOTRE MUSIQUE

NOTRE MUSIQUE

Elle est retrouvee.
Quoi? - L'Eternitee.
C'est la mer alleee
Avec le soleil.

Blossom Dearie最近になって再発になったブロッサム・ディアリーの70年代の隠れた名盤。
ブロッサム・ディアリーは1926年4月28日NY州イースト・ダーハム生まれ。10代後半よりジャズを歌い始め40年代中期はウディ・ハーマン楽団やアルヴィノ・レイ楽団のコーラス・グループで活躍。52年にはフランスに渡り、アニー・ロスと共に"The Blue Stars"というコーラスグループを結成し、"バードランドの子守歌"などのヒットを生んだ。56年にノーマン・グランツの誘いで一時帰米、ソロのジャズボーカリストとしてVerveに6枚のアルバムを録音し、その後はアメリカとヨーロッパの両方で行うようになる。73年にはN.Y.で自主レーベルとしてダフォディル・レーベルを設立しその意欲的な音楽活動は充実していく。近年ではジャズボーカルという枠を超えて、"カフェ・ア・プレミディ"からベスト盤が出たりして、ポスト渋谷系ともいうべきカフェ世代層からも多くの支持を集めた。またそのキュートでコケティッシュな歌声はソフト・ロックやネオアコ系のファンからも絶大なリスペクトを集めている。
本作はダフォディル・レーベルでの4作目にあたる作品で、彼女の歌声とピアノのみというシンプルな構成。彼女はピアノを弾きながら、キュートな歌声で一音一音気持ちを込めて丁寧に紡いでいく。特に"Touch the Hand of Love"は思わず溜息が漏れる素晴らしさである。
モダンジャズ創生期から活躍してきたベテランシンガーではあるが、ジャズボーカルというとサラ・ヴォーンやエラ・フィッツジェラルドのような、声量のある力強いヴォーカルが主流であったが、ブロッサムはアニタ・オデイなどと同タイプで声量もなく、歌唱力という点でも決して上手いとはいえない。しかしキュートでありファニーでありコケティッシュである彼女の歌声は、ジャズという狭い範囲で語ることができないほど多角的な魅力に溢れ、ジャズファンだけに限らず多くの音楽ファンを虜にした。既に50年と言うキャリアを持ち、相応の年齢を重ねているが、その若々しく瑞々しい元祖ウィスパー・ヴォイスともいえる囁くような繊細な歌声は衰えを知らない。彼女のどこまでも優しい歌声は、天使の魔法のように一年の過ちや悔いをすべて赦し、昇華させてくれる。