Allman Brothers Band - Live At Fillmore East | NOTRE MUSIQUE

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Elle est retrouvee.
Quoi? - L'Eternitee.
C'est la mer alleee
Avec le soleil.

Allman Brothers Bandオールマン・ブラザーズ・バンドの1971年のライブ盤。
オールマンの最高傑作でもあり、70年代ロック史に輝く名盤。タイトル通り1971年3月当時のロックのライブ名盤を数多く生んだニュー・ヨークのフィルモア・イーストでのライブを収録したアルバムである。
オールマン・ブラザーズ・バンドのデビューは1969年、結成時のメンバーはグレッグ・オールマン(org,Vo)、デュアン・オールマン(SldGt)、ディッキー・ベッツ(G)、ベリー・オークリー(B)、ブッチ・トラックス(Ds)、ジェイ・ジョニー・ジョンソン(Ds)の6人で、ギター2本にドラム2台という大編成。このバンド自体の結成もデビューの1969年であり、結成時それぞれのメンバーにはスタジオミュージシャンとしての下積みの時代があった。特に有名なのが、スライドギターのデュアン・オールマンで、彼はアトランティックのスタジオ・ミュージシャンとしてウィルソン・ピケッツやアリーサ・フランクリンなどの諸作で一聴で彼とわかる個性的なスライド・ギターを披露している。この時代の録音は"Duan Allman Anthology"としてまとめて聴くことが可能である。因みにウイルソン・ピケッツにビートルズのカバーなどロックのカバーを勧めヒットに導いたのも彼の進言に寄るものだそうだ。しかしデュアンをはじめメンバーたちは各々スタジオ・ミュージシャンとしての制限された音楽活動に不満を抱えるようになり、オールマン・ブラザーズ・バンド結成に至る。
今やサザン・ロック、スワンプロックとしての代名詞的なバンドであるオールマンだが、デビュー当時のバンドの方向性にはそうしたルーツミュージックをストレートに演奏するというスタイルではなく、ブルティッシュロックからの影響をブルースを基調にした自分たちのサウンドとして取り入れていた。デビュー・アルバムのサウンドの方向性は後にデュアン自身も語っているように非常に同世代のブリティッシュロックを意識している節があるが、どうしてもルーツにある泥臭いブルースの香りが先行して洗練されたコンテンポラリーな音楽には聴こえないし、またそれがオールマンのサウンドの魅力となった。
このライブ盤ではそうした彼らのブルースを始めとするルーツミュージックからの影響がより顕著に表れており、スタジオ盤にあったブリティッシュロックへの情景も薄れ、彼らの本来持つ圧倒的な演奏力がフルに展開されている。特にこのバンドの醍醐味のひとつであるデュアンとディッキー・ベッツの2本のリードギターによるギターの長いインプロヴィゼーションの掛け合いは見事で、その後のロックバンドにおけるツインギターのアンサンブルのひとつのスタイルとして大きな影響を残した。コルトレーンを擁した頃のマイルスバンドのマイルスとコルトレーンのソロの対比を参考にしたと言われる二人のスリリングな掛け合いはスタンダードなブルースナンバーを単なるブルースカバーではなく、ギターだけでハードロックとしてのオールマン独自のサウンドに見事に変換させている。またデュアンのスライドをはじめそれぞれのソロの力量も並々ならぬバンドではあるが、それ以上にバンドアンサンブルにも細かな気配りがされており、オリジナルの大作である"エイリザベスリードの追憶"におけるダイナミックな演奏と構成力はロック史に残る名演となり、本作をライブの名盤として今でも語り継がれるほどの有名なアルバムにのし上げた。オールマン・ブラザーズ・バンドとしてのバンドとしての方向性の本質は長いインプロヴィゼーションよりもむしろこうしたバンドとしてのアンサンブルにあるといえる。
その後デュアンが1971年10月に事故死 、同じくベリーオークリー1972年10月に事故死と相次いで不幸な出来事が続き、このオリジナルメンバーでの全盛期は長くは続かなかったが、彼らのブルースを始めとしたアメリカン・ルーツミュージックを土台にした力強いサウンドは後のスワンプ・ロックやサザン・ロックと言われるジャンルにおいて多くのフォロワーを生み出した。
なお、本作は現在はデラックス・エディションというかたちで、"Eat A Peach"に収録されていた"エリザベスリードの追憶"にも匹敵するドノヴァンの"霧のマウンテン"をベースにした"Mountain Jam"などフィルモアでの録音でありながら他のアルバムに散らばっていたテイクをまとめて聴くことができる。個人的にはオリジナルの曲順で聴き慣れているため、デラックス・エディションという形でこの素晴らしい演奏を一気に聴くことには相当のエネルギーを要する。やはりこの"Live At Fillmore East "はオリジナルの曲順で聴きたいし、"Mountain Jam"はオリジナルの"Eat A Peach"の中で聴くほうがしっくりくる。また近年にはこのフィルモアの前年1970年のライブ音源である"Live At The Atlanta International Pop Festival July 3 & 5 1970"も公式リリースされた。