George Michael - Faith | NOTRE MUSIQUE

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Elle est retrouvee.
Quoi? - L'Eternitee.
C'est la mer alleee
Avec le soleil.

George Michaelジョージ・マイケルのWham!解散後の1987年の初のソロ作。(クリスマスということでいろいろ悩みましたが、結局ベタですがいまや日本のクリスマスに欠かせない有名曲"Last Christmas"をつくったWham!のジョージ・マイケルです。)
ジョージ・マイケルは12歳の頃からの友人アンドリュー・リッジリーとともにWham!を結成。このWham!というグループは、稀代のポップスターであり優れたポップメイカーであるジョージ・マイケルの表現の場であり彼はこのグループでの活動によって成長し、世界へと羽ばたいた。彼らはルックスも良かったことからアイドルとして認知されることも多く、アイドルロックの原型を作ったバンドであったとも言える。Wham!のデビュー・アルバムから彼のメロディー・センスは優れており、アイドル的なルックスであるがゆえに、プロデュースやソングライティングは別のアーティストが手がけているのではという憶測すら出回ったが、そうしたすべての作業はジョージ・マイケルひとりによってなされたものであり彼への評価は瞬く間に高まった。このデビューアルバムにはそうした彼らの魅力がたっぷり込められており、大ヒットした"Young Guns"や"Wham Rap!"などのヒット曲だけでなく、ミラクルズのカヴァーである"Love Machine"のセンスも彼らの評価を高めた。
言うまでもなく、ロックは黒人音楽からのコンプレックスなど強い影響を受けている音楽である。80年代当時もピーター・ガブリエルやTalking Headsをはじめ流行のエレクトロなダンスビートにアフリカンビートを取り入れるミュージシャンも多かった。このジョージ・マイケルも黒人音楽への情景が非常に強く、Wham!の音楽性にもそれは色濃く反映されているが、彼の黒人音楽の消化の仕方は他のミュージシャンとは大きく異なり、黒人音楽へのコンプレックスは存在しなかった。ジョージ・マイケルの場合は自分が率直に感じ取った音楽をストレートに自己の音楽に反映させているだけであり、消化し自己の音楽へ再構築をするというスタイルとは異なる。こう書くとロックがロックとして存在できる重要なファクターである批評性に乏しくも感じられるが、彼はそこをキラキラしたアイドル的なルックスと抜群のメロディーセンスでカバーし、そのプリミティブな音楽欲求を曝け出した。
彼のそうした黒人音楽の消化の仕方を軽薄だとする批評家もいたが、そこはこれまでのブルースから派生したロックやR&Bの影響下にあるポップミュージックとは一線を画するもので、そうした解釈の差異はもはや世代的なものであるだろう。いずれにしてもこのWham!の方法論はその後誕生する黒人音楽の影響を受けたバンドに多くの影響を与え、多くのフォロワーを生むことになった。ジョージ・マイケルというルックスの良いスターがこの時代に登場し、若いエネルギーと優れたポップセンスを発揮させることが出来たからこそ成しえたサウンドである。
Wham!は約4年で解散し、ジョージ・マイケルはソロ活動を開始、そのソロ第1弾が本作である。本作からは"I Want Your Sex"やアルバムタイトル曲の"Faith"、"Monkey"など合計6枚のトップ5ヒットも生まれ、全世界で1000万枚以上を売り上げるという大ヒット作となった。Wham!時代からの黒人音楽への情景をそれまでのストレートなアイドル的なアプローチではなく、脱アイドル化し見事に自己のサウンドとしてのアイデンティティを獲得、よりアーティスティックで完成されたサウンドを聴かせた。本作は1988年のGrammy Awards-Album Of The Yearを受賞、全米では12週連続全米No.1アルバムを獲得、年度Billboard年間チャートSingle,Album両部門を制覇するという快挙を達成した。