Sex Pistols - Never Mind The Bollocks | NOTRE MUSIQUE

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Elle est retrouvee.
Quoi? - L'Eternitee.
C'est la mer alleee
Avec le soleil.

Sex Pistolsセックス・ピストルズの1977年の衝撃的なデビューアルバム、邦題は"勝手にしやがれ"。
セックス・ピストルズは今さら言うまでもなくパンクロックの最も代表的なバンドであり、ジョニー・ロットンというその後のパンクシーンからニューウェーブと繋がっていくロックの流れの中でも最も重要なキーパーソンを生んだバンドである。
パンクは産業化、肥大化したロックという音楽そのものを否定するところから始まった。ロック自体がこれまで、旧態依然とした社会へのフラストレーションやときには反戦音楽であったり厭世音楽であったりしたものであったが、パンクはそのフラストレーションのターゲットをロック自身に向けた。そしてそのパンクを支えたアーティストが誰だったかというと、他でもなくこのピストルズのようにロックによって育ったアーティストたちであった。ハードロックやプログレッシブロックなどが台頭により音楽性は複雑化し、余計な付加要素は加わったことによって、ロックの持つダイナミックさやシーンのスピード感がなくなった時代に、パンクは登場した。その単調なスリーコードを爆音でかき鳴らし、ただひたすら自分たちのサウンド自体にフラストレーションをぶつけるというスタイルは極めて革新的であった。サウンド的には古典的ともいうべきロックのルーツに忠実なものであり、これまであったロックという既成概念を否定しつつも、古いスタイルを継承しパンクを完全に新しいロックとして蘇らせた。このピストルズの他にもダムド、クラッシュ、ジャムなど人気の高いバンドが何組も登場し、パンクムーブメントは時代の象徴にもなったが、その音楽性とは裏腹に、彼らは下級階層の出身でなく意外と学歴が高く、インテリジェントな魅力をも兼ね揃えていたというのが興味深いところでもある。
本作でのジョニー・ロットンのボーカルはまさにこの当時のパンクサウンドを象徴しており、プリミティブなロック的な暴力性と衝動的に湧き上がるパワーに溢れている。そしてその直球のパワーが捻じ曲がって屈折していくのがピストルズのサウンドの醍醐味といえるだろう。"Anarchy In The U.K."や"God Save The Queen"といったヒット曲はパンクのスタンダードにもなり、そのタイトルだけでもパンクという音楽性を示唆している。これらの曲とともにショニー・ロットンは「ロックは死んだ」との名言を残すが、そのサウンドは実はロックそのものであり、その矛盾が彼の強かさでもあり、その後のPILでのニューウェーブに向かう音楽活動にも影響している。
またこのピストルズの周辺には、ある意味ジョニーロットンよりもパンクを体言し、夭折したベーシストのシド・ヴィシャス、ピストルズを結成させ新たなパンクムーブメントを仕掛けたマルコム・マクラーレン、マクラーレンのパートナーでもあったデザイナーのヴィヴィアン・ウェストウッドなど、その後の80年代に大きく影響を残す人物が数多く存在していた。