"NOTRE MUSIQUE"終了の御挨拶 | NOTRE MUSIQUE

NOTRE MUSIQUE

Elle est retrouvee.
Quoi? - L'Eternitee.
C'est la mer alleee
Avec le soleil.

先日の告知通り本日で(昨日のビートルズを最後に)毎日更新を続けてきた本Blogの更新を停止させていただきます。
奇しくも年末にあたる本日まで(正確にはアルバムレビューは昨日まで)でUpしたアルバムはちょうど合計300枚(約280アーティスト)になりました。

私は音楽とは全く関係ない仕事をしているため、趣味と聞かれて"音楽鑑賞"と答えてしまうことが多いのですが、必ずその後に聞かれる"どんな音楽が好きなのですか?"という質問はもっとも頭を悩ませる質問であり、どんな回答をしてもその後1週間は後悔し続けるほど答えにくい質問であります。
このBlogはもともとほとんど統合不全で分裂症状態である私的でなかなか理解されない音楽嗜好を少しでも分かってもらおうと思って始めたものであり、当初はごく限られた範囲の知人/友人のために書き始めました。そして次第に読者になっていただける方の増加、アクセス数の増加と比例して自然と無意識の内に、文章が硬くなり感想というよりも批評じみた記事が多くなってしまいました。(最初の頃の記事と比べると全然別物ですね) とりあえずBlog開設当初に決めたルールは下記10点です。

1. 取り上げるアルバムは一人のアーティストにつき一枚。
2. 特に思い入れの強いMiles Davis,Stevie Wonder,Serge Gainsbourgについては上記1の例外とする。
3. ライブ等で感動して帰った日の記事も上記1の限りではない。
4. アクセス数稼ぎのためのこちらからの積極的なTrackBackは控える。
5. いただいたTrackBackについては速やかにお返しさせていただく。
6.いただいたコメントに関してはお返事させていただく。(全然出来ていないですね。。。)
7. 2005年現在入手可能なアルバムに限る。(一部例外も書いてしまいました。。。)
8. 利益目的(アフィリエイト)には使用しない。
9. リンクの乱用、不必要な改行はしない。
10. 掲載する画像はアルバムジャケットのみとする。

以上、最低限のルールしか決めず、毎日かなり思いつきで選びました。
とにかく毎日更新すると決めてしまったため、振り返ると自分で読むのも恥ずかしい記事も多数あります。酔っ払いながら書いたものや仕事で疲労困憊して書いたものなども多く、明らかに日本語表現がおかしいものもあります。(そういう記事は引っ込めてしまおうかとも思いましたが、キリがないのでこのままにしておきます。)

これだけのテクストを公の場に残しておきながら、こんなことを言うのも憚れますが、音楽について文章を書くという行為は本来極めて不毛なことであると思っています。実際にこういうものを書いてみようかなと思い始めてから、実際に行動に移すまでにかなり悩みました。
音楽の素晴らしさは理屈通りにはいかないもので、感性に任せた第一印象やその場のインスピレーションが全てとも言えますが、同時にそんなに簡単に一言で言い切れるものでもありません。どんな音楽をどんなふうに出会っても良いものは良い、という考え方は正論ではありますが、情報過多の現代においては、聊か独断的であるといえるでしょう。(こうしたBlogをはじめとするWebサイトにはそれこそ私見に満ちたものや誤情報もたくさんあります。)

また、そうした個人の感性とは別のところで個人が意図しない社会的な意識の埋め込みという行為が知らないうちに行われてしまうというのも商業音楽である以上、仕方のないことでもあります。
20世紀の音楽史を振り返っても、ブラックミュージックの発展は公民権運動の盛衰をなくして語れませんし、ロックという音楽が常にそうしたブラックミュージックの影響を受け続けながら発展してきたというのも事実です。
そして60年代ロック史においてはベトナム戦争への反対と厭世、カウンターカルチャーの一部としてロックが反戦に加担した一方で、第2次大戦時には米大統領のルーズベルトが戦場の兵士の戦意高揚の音楽としてデューク・エリントンやグレン・ミラーの音楽を利用し、ヒトラーがチャイコフスキーやブラームスの音楽をナチスドイツのナショナリズムを高揚させるために利用したという暗い過去も存在したように、使い方如何によっては音楽は必ずしも良い方向にだけ作用するものではありません。
こうした社会意識としての操作に利用されたりする危険の中、また混沌とした情報過多の現代においては、言うまでもなく自分なりの意見を持つことが重要であり、あくまで自分の耳で聴き感性を磨くことを忘れてはいけないと思っています。従って、ここに書いた音楽レビューの数々は私なりのそれぞれの音楽に対する愛と解釈であり、決して一般論でもありません。(性格的に所詮は商業音楽である以上"売れるものは正しい"と思っていますので、結果としてそれほど一般論とはズレていないようです。)

個人の音楽嗜好に対して唯一絶対的な影響力を持つものがあるとすれば、それはまさに音楽との出会い方に尽きると思います。
新しい音楽との出会いがさらに新しい音楽との出会いを生むという普遍の定義は、アーティストとアーティストの出会いが新しい音楽を生むということと同義であり、広義においてはビートルズによってポップ・ミュージックが発展したり、マイルス・デイビスの活動がジャズ史を牽引し続けたという歴史的事実とも同義だと言えるでしょう。

本Blogをこれで完全に終わりにしてしまうかどうかはまだわかりませんが、最後にこんなに無駄に長く偏見に満ちた音楽評を読んで下さった皆様にお礼を述べさせていただきます。これまでBookmarkに登録して毎日読んで下さった皆様、読者登録をしてくださった51人のAmebloユーザの皆様、コメントを残して下さった皆様(お返事返せず申し訳ありませんでした)、TrackBackして下さった皆様、Mixiからのリンクで訪問して下さった皆様、更新を応援してくれたご友人の皆様、誤字脱字を指摘して下さった皆様、本当に有り難う御座いました。

皆様にこれからも素敵な音楽との出会いがたくさんありますように。
そしてその出会いがこのBlogで書いた300枚の中にあれば、こんなに嬉しいことはありません。